子宮頸がんとは
子宮頸がんは子宮の入り口の子宮頚部と呼ばれる部分に発生します。子宮頸がんは通常、一定の時間をかけてゆっくりと増殖します。がんが発見される前の段階として、子宮頚部の組織に、がんに進行する可能性がある細胞が増えていきます。これを「異形成」といいます。この状態の時期には症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。
子宮頸がんは、進行すると骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮頸部の周りの組織に広がったり、子宮から離れた肺などの臓器に転移したりすることがあります。
子宮頸がんの統計
罹患者数
上皮内がんを含む子宮頸がんは、20~30代女性がかかるがんの第1位で、子宮がん全体の約70%を占めています。
73人に1人の女性が子宮頸がんになる確率です。
罹患率・死亡率
子宮頸がんは近年、罹患者数も死亡者数もともに増加傾向にあります。
最も多いのは40代ですが、他のがんに比べて20~30代での罹患者の増加が問題となっています。
5年生存率
早期に発見すれば比較的治療しやすく予後の良いがんですが、進行すると治療が難しくなり、生存率は激減します。
要因
原因のほとんどは、性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)です。
HPVは性交渉により感染し、80%の女性が一生に一度は感染するといわれる、ありふれたウイルスです。
通常はウイルスに感染しても、約90%の人は免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、約10%の人はウイルスを排除できずに持続感染し、その結果、子宮頚部の細胞に異形成が起きて子宮頸がんへと進行します。
リスク因子
- 初交年齢が若い
- 性交相手が多い
- 多産
- 喫煙者
- ビタミンA、Cの少ない食事
- 経口避妊薬(ピル)の長期服用者
- 免疫系の低下
症状
- 月経以外の出血(不正出血)
- 性交渉による出血
- においを伴う茶褐色・黒褐色のおりものの増加
- 足腰の痛み
- 骨盤や下腹部の痛み
- 血の混じった尿や便
- 下肢のむくみ
早期発見
HPV感染から子宮頸がんへと進行するまでには、およそ5~10年という長い年月がかかるとされており、2年ごとに子宮頸がん検診を受ければ、がんになる前の異形成の段階で見つけることが可能です。
しかし、一部の子宮頸がんは急速に進行することがあります。検診で異常がなくても、出血やおりものの異常などの症状があれば、次のがん検診を待たずに速やかに(産)婦人科を受診することが大切です。
子宮頸がん検診
日本での子宮頸がん検診は「20歳以上の女性を対象に2年に1回の細胞診」を受けることが推奨されています。
当組合でも子宮頸がん検診を実施しています。定期的な検診でがんの早期発見につなげましょう。
※月経(生理)中は避けて検査を受けてください。
がん検診
細胞診
- 子宮頸部(子宮の入り口)を先にブラシのついた専用の器具で擦って細胞を採取
- 異常な細胞を顕微鏡で調べる
- 検査時間:1~2分
結果別の流れ
結果 | 推定される病理診断 | 従来のクラス分類 | 運用 | |
NILM | 陰性 | 非腫瘍性所見、 炎症 |
Ⅰ、Ⅱ | 異常なし:定期検査 |
---|---|---|---|---|
ASC-US | 意義不明な異型扁平上皮細胞 | 軽度扁平上皮内病変疑い | Ⅱ-Ⅲa | 要精密検査:
|
ASC-H | HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 | 高度扁平上皮内病変疑い | Ⅲa、Ⅲb | 要精密検査:コルポ、生検 |
LSIL | 軽度扁平上皮内病変 | HPV感染 CIN1 |
Ⅲa | |
HSIL | 高度扁平上皮内病変 | CIN2 CIN3 |
Ⅲa、 Ⅲb-Ⅳ |
|
SCC | 扁平上皮癌 | 扁平上皮癌 | Ⅴ | |
AGC | 異型腺細胞 | 腺異型または腺癌疑い | Ⅲ | 要精密検査: コルポ、生検、頸管および内膜細胞診または組織診 |
AIS | 上皮内腺癌 | 上皮内腺癌 | Ⅳ | |
Adenocarcinoma | 腺癌 | 腺癌 | Ⅴ | |
other malig. | その他の悪性腫瘍 | その他の悪性腫瘍 | Ⅴ | 要精密検査:病変検索 |
子宮がん検診で異常があれば速やかに医療機関へ受診してください。
精密検査の種類
HPV検査
子宮頸がん検診の細胞診の結果によって、コルポスコープ検査が必要かどうかを判断するために実施されることがあります。
コルポ(スコープ検査)
さらに所見を明確にする処置の後、再度観察し病変が強い場所を特定します。
生検
つまみとった組織を病理検査することで診断を確定します。出血を伴いますので、検査当日は激しい運動や入浴(シャワー可)は控える必要があります。
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